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スノウ・ラブレター

2009/03/20 08:43
眠い。
だから追記に槍弓じゃないものを投下して寝ます。


眠い。
だからきっと意味が分からないです。




おやすみなさい。




雪のように真っ白な、混じり気のない



スノウ・ラブレター



世界は白く、白く、何色にも染められる白に覆い尽くされている。
雪が降っていた。吹雪いているという程度には。
踝が隠れるほどに積もった雪の上に残る足跡は一つだけで
衛宮士郎は明るい太陽のような髪の毛を白く染めながら足跡を二つに増やしている。
「アーチャー」
声に出して探し人の名を呼んでみても、返事は返ってこない。
「アーチャー」
再度呼んでみる。声は降る雪に吸い込まれてどこかに消えてしまう。
今だけは天から降り注ぐ白い雪が恨めしかった。
彼と彼の探し人がいつもどおり言い争いをして、彼がマスターである赤い少女に殴り飛ばされたのはもう半時ほど前のこと。
くだらない口喧嘩はいつもと変わらなかったのに、少女の機嫌が少々悪かった。ただそれだけのことだというのに。
アーチャーは多感な青少年よろしく家出したまま帰って来ない。
サーヴァントは風邪を引かないし、立派な大人であるアーチャーを探しに行く必要などどこにも無いのだけれども、口喧嘩の原因が自分にあると思っている士郎は探さずにはいられなかった。
学校の裏にある林でアーチャーの名前を呼ぶ。
ここで迷子になったら完全に遭難だな、なんて思いながら。

白い結晶は空から途切れなく士郎の上に降り注ぐ。
この雪にまぎれてしまったら、きっとアーチャーは見つからない。
士郎には彼を見つけることなど出来ないかもしれないと思う。
それでも彼を探し出したい。なぜならば彼を本当に理解できるのは自分だけだからだ。
独占欲だといわれてもしょうがない。
子供のように彼はアーチャーに対して執着している。
喧嘩はそれが裏目に出ているだけだ。ただ彼に対して反発せずにはいられない。
誰よりもアーチャーを認めたいのは自分だから。

雪が白くて、白くて、何故だか涙が出そうになった。
彼の髪の色だ。色々なことを背負って自分を責める彼の髪は、その磨耗した心を映すように白い。
ぼうっと歩いていたからなのか、足を雪に取られてその場に倒れこむ。
積もった雪のおかげで痛くは無かったが、起き上がる気力がなんとなく湧いてこなくてうつぶせのまま。
はらはらと積もっていく白に染められていく。目を閉じると静寂で、零れた涙は音と共に吸い込まれていく。
「…何をしている」
声をかけられるまで気が付かなかった。
雪の中、足音一つ立てずに移動することが出来るのはさすが英霊、と思うとなんだかすごく胸が痛くなる。
「アーチャー」
「なんだ」
早く起きろ、とさっきよりも近くで声がする。おそらくしゃがんでいるのだろう。
腕が大きい手で捕まえられ上へと引っ張られた。それほど強くない力で。
目を開けると視界に写る白い髪と褐色の肌。精悍な顔つきに、顰められた眉間の皺。
大嫌いで、誰よりも認めてあげたい、人。
「どこにもいくなよ」
声を出した瞬間にぼろりと涙がまた零れた。
決壊したダムのように、後から後からぼろぼろと涙が零れて白い雪に消えていく。
無言が痛い。肌に刺さる。極寒の寒さのように、肌と心が傷つけられる。
苦しくて苦しくて、胸が痛かった。
「お前が好きだから」
すごくすごくすきだから
だから、どうかどこにもいかないでくれ

同じ人物だというのに、士郎はアーチャーに劣情を感じている。
それでも構わないと思う程度には、彼はアーチャーのことが好きだ。
認めてしまえば全てが簡単で、言ってしまえば崩壊すると分かっていても、それでも彼に好きだと伝えずにはいられない。
涙のようだ。泣きたくないと思っても勝手に出てくる涙を止められない。泣きたくないと思っていても関係なく後からあふれ出てきてしまう。止められない思いはたちが悪い。
無言でただじっと士郎の顔を見るアーチャーは、やがてため息をつくと士郎の腕から手を離した。
わずかに浮いていた身体は自重で雪に沈む。視界からアーチャーは消えた。
「お前は、本当にばかだ」

雪は降り続いている。
林の中で横になった士郎と、傍らにしゃがみこむアーチャーの上にもしんしんと白い結晶は降り続いている。
ばさりとどこかで音がして、アーチャーは士郎の顔を覗き込んだ。
「士郎」
まだ泣いてる士郎の耳元に口を寄せてその名を呼べば、わずかに首を動かして士郎はアーチャーを見た。
「…帰るぞ」
特に何かいうこともなく、ただ帰ろう、と
ただソレだけを口にして、アーチャーは士郎の頬に手を寄せた。
冷え切った頬は柔らかくて、なんだか泣きたくなる。
遠い昔の自分、自分とはもう違う自分。
誰よりも彼を知っている。でも知らない自分だ。
士郎はわずかに身を起こすと、じっとアーチャーを見つめている。
そのまっすぐな眼差しに殺されてしまいそうで、わざとらしく目を逸らした。

一点の曇りもなく、ただ彼だけが好きだ。
言わずにいられないほど、彼のことを愛している。
だから士郎は目を逸らさない。雪の中でも見失わないように。



「好きだ」


たった一言、それだけ



混じり気のない、雪のようなその一言
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